人の根底にある「心」について
空高く浮かぶ雲が、何層にも重なりうろこのような形をしていて「うわ~すごい」と思わず声が出たり、木の葉が一気に色づき、赤、朱色、黄色に染められた木々を見上げて「うわ~きれい!」と感動の声が上がる秋。四季折々、いろいろな色や姿を見せてくれる「自然」ですが、秋の味わい深さは、「心」に響きます。
ところで「心」とは、何なのでしょう?
美しい自然に触れて感動する。おいしいものを食べて感動する。音楽を聴いて感動する。お話を聞いて感動する。さらに暑さや寒さの気温の変化を感じ取る、人が集まっている状況の中で、喜怒哀楽の雰囲気を感じ取る、また事前に身の危険を感じて予定を取りやめるなど、「感じる」ことへ通じる働きについて、私達には「備わっている何か」があります。これは「感性」と呼ばれるもので、人間の「精神活動」の面です。
一方でいろいろなことを覚えたり、記憶したり、考えたり、工夫したりする力、さらに、泣いたり、笑ったり、話したり、歌ったり、跳んだり、歩いたり、走ったりするなど、人間はいろいろな力をもっていますが、こちらは体の動きを伴う「肉体活動」になります。
幼児期はたくさんのものを目にし、感じ、できることが増え、この「精神活動」と「肉体活動」を高めています。
そしてこの「精神活動」と「肉体活動」の両方の面にかかわるものが「人の心」です。「精神活動」と「肉体活動」によって鍛えられてきた「心」。「心」が安定していると生活は楽しいですし、前向きにもなりますが、逆に「心」が不安な状態になると生活が乱れ、病気にもなる、つまり「心」は人間にとってとても大切な根底で「いのちの働き」に通ずるものになります。
10月は各学年、円山公園へ行ったのですが、秋の風を感じながら、紅葉で色が変わった色とりどりの葉を目でみて、どんぐりがぽとりぽとりと木から落ちてくる音を聴いて、くしゃくしゃと落ち葉を踏む感触を足で感じながら、どんぐりや落ち葉拾いを楽しみました。また拾ってきたどんぐりや落ち葉を使って製作も楽しみました。またその他にも、絵の具を手にいっぱい付けて、絵の具の感触を楽しみながら絵を描いたり、画用紙をはさみで切って、お花紙を丸めて、自分の作りたい物を無心で黙々と作る姿が見られました。ゆったりとした時間の中で、自然に触れ、体を動かし、それぞれの個性を出して芸術を楽しむ姿から、Physical Festivalで育まれた「心」とはまた違う「心」の育ちを感じた10月でした。そして11月は表現Festivalがあり、また新たな「心」が一人ひとりのお子さま達に育つんだろうなと、とても楽しみにしています。
「強くて真っすぐできれいな心」は、将来大きくなった時に、妬みや恨み、批判ではなく、物事を多角的にみて、ともすれば見えなくなりがちな良いところを見る目につながります。大事な幼児期に、幼稚園での、そしてもちろんご家庭での様々な経験を通して「心」が正しく鍛えられることを願っています。