贈ることば
『お園庭(ニワ)の雪も解けはじめ もうすぐ学校うれしいなぁ こんなに大きくなりました 先生みなさんありがとう…』
自然とこんな歌詞が口づさまれる卒園・修了の3月を迎えました。この歌は、20年以上毎年卒園式に歌い続けて来た私にとって、とても思い出深い歌です。時代が変って、インターナショナル山の手幼稚園になってからは、卒園式の歌は新しくなりました。
私は、この歌の中にお子さま達の成長した姿と入学への希望あふれる未来の逞しい姿が重なって目に浮かぶからです。
私達教職員一同に毎日毎日、皆さんの成長の姿を楽しませていただいたことに、大きな声で「ありがとう!いつまでも見守っていますよ!」とエールをおくります。
さて、皆さんのお父さまやお母さまは、世界中で一番可愛い一番大事な皆さんの大切な「幼児教育」を私が創立したインターナショナル山の手幼稚園へ高い信頼を寄せて託して下さいました。真に有りがたく光栄の極みであります。そのご父母さまのお心をこころとして、私共は力の限り皆さんのご成長を手助けして参りました。皆さんのすばらしい才能の開花は、目を瞠るばかりでした。これからの皆さんの人生に幸多かれと祈るばかりです。
私は、この3月15日第44回卒園式に巣立って行く、手塩にかけて育てたお子さま達に、人間の先輩として本音の教訓を三つ贈ります。
ひとつは、「人に負けても自分に負けない」で下さい。
私は、戦争中旧制中学1年生の時、不慮の怪我で右眼を失明しました。サングラスをかけたことが、不良少年達にねらわれ、いわれのない「いじめ」にもあいました。自暴自棄になって、彼等の仲間入りもしました。勉強も捨て、喧嘩もし、ウロつき回りました。高校2年の春、心配し続けていて下さった担任の先生に、「菅原は自分に負けてないか」と諭され、回りを見ると、皆んな大学受験に向けて勉強していました。
受験勉強は、それからでは間に合いませんでした。その時、私は悩み抜いた末に本当の競争は、「人に負けても自分に負けないでいれば、一生かけて目的を達成できる」、と思うようになり、教育の道に入って55年になりました。どうぞ自分に負けないで、一生の仕事を見つけて下さい。
ふたつ目は、私の母は私の幼い頃の口ぐせに「トイレと勉強は自分でしなさい!」でした。そして、みっつ目は、人間生れながらにして、誰れにでもある「才能」は、「あきらめない心」です。ねらいを見つけて取り組み続けるねばり強さです。投げ出さない心です。私は、皆さんが堂々と歩み続けて幸せな人生を掴むことを祈り続けています。
ありがとうございました。