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「学習力」を伸ばす、幼児教育の実践

北国札幌をとり囲む雄大な大自然を錦絵のように彩った紅葉も色褪せて雪虫の舞う11月になりました。

お子さま達の描く絵の色づかいにも多様さと深みが一段と感じられるようになりました。

大自然が人間の「感性」に与える力の大きさを毎年感じさせられるのがこの季節であります。

お子さま達は、先月の絵画ウィークで鍛えた幼児画への興味と描画の楽しさに引かれて、身の回りのものを題材に熱心にとり組んでおります。幼児期の大脳発達にとって、目と手(特に指先)と大脳との操作の結びつけを行ううえで、とても大事な学習活動であります。

ここで「学習」ということばがでましたので、このことについて最近の新しい情報を要約します。

年中・長のご父母さま方にはご記憶のことと思いますが昨年の11月号のインフォメーション(第536号)に「人間の赤ちゃんが生まれる前に身につけてくる行動能力(原始行動)は、①吸いつき行動 ②抱きつき行動 ③ほほえみ行動の三つです」、と述べ、これが「こども力」で、「学ぶ力」の支えになるものです、と書きました。

ところが、極く最近の大脳科学や行動科学の研究によりますと、「人間の赤ちゃんはお母さんのおなかの中に居る間に、外の世界の情報を沢山収得していて、その情報が生まれてからの性格や情緒や知能の発達を決めている。」といわれるようになりました。「胎教」の大切さが証明されようとさえしています。また、大脳生理学の上でも1970年代頃までは、大脳細胞の特色について、「およそ140億個の大脳細胞は、生まれてから毎日毎日減ってはゆくがそれ自身で分裂増殖はしない」、などと教えられました。しかし、今日では、それも不確かな知識になってしまいました。

このように堀り下げて参りますと、「学習」は人間にとって経験以前に収得した「情報」も含まれている、と捕えることが正しい、ことになります。

このことも頭において、次にもう少し根本的なことを一歩踏み込んで考えてみましょう。

それは「親が子育てする目標は何ですか?」

答えは、「将来一人前の社会人になって、自分で生活して、生きてゆける人間になって欲しい」からです。つまり「自立」させるためです。

自立には中味が3つあります。①第一には、「精神の自立」です。幼児期から自分で物事を判断できる習慣を身につけておくことです。
②次は、「生活の自立」です。人に迷惑をかけないで健康的な社会生活を送れる能力です。
③おしまいは、「経済の自立」です。自分で働いて金を稼ぐ心構えを幼児期にしっかり教え込むことです。働く、ということと、生きるということの「価値」をしっかり身につけることです。

インフルエンザの予防を怠りなく。カゼをひきませんように。

2010年11月05日