140億個の脳細胞と脳教育のロマン
自然が色彩で輝く11月を迎えました。
園のカリキュラムでは10月が絵画月間で、先月1ヶ月は多種多様な絵画・造形活動に全園で取り組みました。
私は「幼児画は、幼児の心の中を覗くこころの窓と位置づけて」、園の創立期から特に力を入れた教育を続けてきました。
幼児画は、幼児にとっては「ことば」であり、自分の目に映る外界の感動であり、心の叫びでもあります。この点で幼児画は、小学生以上の年齢で画く絵画や芸術家や画家の画く芸術作品とは根本的に異なっています。
人間の使う「ことば」は、幼児の心(脳)の中で、幼児画となってイメージされ、音となって口から発せられます。
先月号のインフォメーションに31歳の時、高校や短大の教師から「清水の舞台」から飛び降りる思いで幼稚園教育に吸い込まれてしまったことを書きました。10月号のインフォメーションをお読みいただいたお母さま方(2名)から「動機についてもう少し詳しく教えて欲しい旨」のメモをいただきました。
ごもっともと、反省し、少し書き足させて下さい。実は1965年の夏休みに高等学校の「社会科」に「倫理・社会」という新しい教科が加えられ、この教科を担当する教員に文部省(現文部科学省)が「伝達講習」を東京学芸大学練馬分校で2週間行い、北海道から2名推薦されその中の1名として厳しく管理されながら暑い日々を過ごしました。
その期間中の土曜日の午後、日比谷公会堂で、東京大学医学部教授(大脳生理学)の時実俊彦博士の「脳の話」という講演会が催されることを知り、早速電話で申込んで、90分の未知の世界に釘づけになりました。時実先生の脳の世界は、ロマン溢れ魅力溢れるものでした。
これがご縁で時実博士とは、山の手幼稚園のご父母用に「幼稚園はよい子を育てる」というブックレットを出版していただいたり、大脳研究に対する文献を多数いただいた上に、ハーヴァード大学の客員教授の合間をぬって一度だけ父母の会の講演会でお話をしていただきました。
私の大脳教育研究は時実先生との出会いではじまりましたが、私の幼稚園教育50年の中ではピアジェ博士やインベルダー女史など21世紀の今もなお貴重な文献の数々をいただき、常に最先端の情報と教育理論で、わが園の幼児達に最善の幼児教育を与え続けていますことは、世界に向って胸を張れることです。
寒さに向います。どうぞご自愛切に。