母語は祖国
鯉のぼりが、大空に元気に泳ぐ5月を迎えました。
先ず最初に、去る3月11日の東日本大震災及び大津波そして福島原子力発電所事故に被災され、尊い生命を失われた皆さまのご冥福をお祈りし、ご遺族並びに被災者の方々に哀心よりお悔やみ申し上げます。
只々、お祈りいたすのみでお慰めの言葉もありません。
私事で恐縮ですが、亡父母の生家が宮城県の栗原市に現存していることもあり、従兄弟や再従兄弟が多数被災いたし、水やインスタント食品、トイレットペーパー等々忙しく送り続けておりました。まだまだ震度6クラスの余震の恐怖に悩まされ続けているようです。早くおさまることを祈っています。
さて、園の方は「家庭訪問」のご協力をいただき、お子さまと担任教師との心理的な距離もぐっと近づき、お子さまの園での生活に期待と喜びを一層深めてゆかれることと信じております。温かいご協力をいただきありがとうございました。
さて、21世紀も10年が過ぎ、いま教育先進諸国が国民に求める教育成果は、従来までの「創造力」(Invention)から英語でセレンデピティー(Serendipity…掘出し物を見つける才能、ひらめき)という能力の助長に目が向けられてきています。今までの日本の学校教育は、論理力優先でしたが、世界の教育は、「ひらめきや発想力」を重視してきています。
ひらめきや発想力は「考えるものではなく心に浮ぶもの」です。これは「俳句」と同じ手法です。最近では、広く英語圏でも「英語俳句」が普及しています。俳句は幼児の「感性」も豊かにします。
園ではお子さまの日常の園生活を通じて、ひらめきや発想力を高める指導に力を入れてきております。
園の教育特色でもありますバイリンガル教育も22年の実績を積んで、高く評価されてきておりますことは、私の至上の歓びでもあります。バイリンガル教育の実践にあたって誤ってならないことは「母語の重要性」であります。一本の木に例えますと、「母語はもと木」です。日本人のもと木は日本語です。外国語である第2言語や第3言語は、このもと木に接ぎ木されたものなのです。
日本人が日本人である、というアイデンティティー(Identity…主体性・自己同一性)は、「日本に生れ、お母さまから最初に日本語で話しかけられたその瞬間に祖国は日本」になるのです。そして「ことばのもと木」は「日本語」になるのです。外国語を学ぶとき、心しておかなければならないのは「母語は祖国」という言語哲学であります。
教職員一同力をあわせて、可能性豊かな可愛いお子さま方の幸せに最大の力を添わせていただきます。