「共感力(思いやり)」が育つ環境づくり
暑い日が続くようになってきましたが、暦の上では「夏至」が過ぎ、これから昼の時間が短くなってくる寂しさも若干感じられる今日この頃。早いもので一学期も残り3週間になりました。
今年度は参観日を「ビデオ配信」という形にさせていただき、本日配信いたします。ご父母さまにはご来園の上、実際にお子さまの様子を見ていただくことができず、大変残念ですが、ビデオ配信の形はよい意味でお子さま達は緊張をせず、普段通りの様子をご覧いただけるのではないかと思っております。「今からビデオを撮るけれども、これはお家でみんなのお父さまやお母さまが見て下さるから、元気一杯頑張ろうね。」と担任に言われ、「わかった!」と笑顔いっぱいスタートし、その後は時折カメラを意識しつつも、普段通りの姿で、はりきって活動に参加していたお子さま達です。
さて、4月から始まった幼稚園生活。約3ヶ月が過ぎ、すっかり幼稚園生活に慣れ、自分の居場所を見つけたことで安心感を得たお子さま達は、どんどん他のお子さまへの興味や関心が広がってきました。また、かかわりが広がったり、深まったりするだけではなく、「あの友達みたいになりたいな」「あの友達を独占したい」「自分が一番になりたい」「自分の気持ちをまずは伝えたい」など、憧れやライバル心、独占欲、競争心なども抱くようにもなっています。そのため、この時期ならではのお子さま同士のトラブルも多く発生しています。
トラブルの原因は様々で、自己の欲求を言語で表現することが拙く、またそれを抑えることが難しい年少組は、物の取り合いや順番などでトラブルが多くなります。また年中組になると、自分の思うようにやりたいと、集団の約束事に関してや、ごっこ遊びの中での役決め、進め方などでトラブルなどが出てきます。年長組になると、自分の好きな遊びを自分の好きな人だけと行いたい、自分はこう思っていたのに、こういう言い方をされて嫌だった、など日々の生活の中でトラブルが起き、またその原因がより複雑になっていきます。
このような時、「もし~だったら」と仮定することもまだ難しい年少組の最初の頃は、教師が入り、まずはその時に気持ちに共感し、「そうだね、○○したかったね。次は○○しようね。」と解決の糸口を幅広く用意していきます。しかし、他者の視点に立って気持ちを考えられるようになる4歳を過ぎてくると、トラブルが起こって友達や教師と話すと自分の悪かったところを自分で振り返り、「○○すればよかった。」と考えられるようにもなります。
自分の気持ちを振り返り、次にどうしたらよかった、と考えられることはとても大切で、その根底になるのは「共感力(思いやり)」の気持ちです。「共感力(思いやり)」とは、相手の気持ちを推測したり、汲み取り、他人の言動などに共感したり、損得なく相手を助けてあげようとする気持ちのことで、日常的に受けるご家庭での愛情や、自分の気持ちに共感してもらった経験から育つと言われています。
人がよりよく生きていくためには、人を思いやる気持ちをもって、人とかかわりながら生きていくことが大切です。お子さま達同士の関係が深まってきた1学期後半。日常のトラブルは、お子さま達の学びの場。お子さま一人ひとりの気持ちが教師に受け止められる環境を第一に、友達とのかかわりの中で相手の気持ちを想像したり、また絵本の読み聞かせなどで登場人物の気持ちを想像する経験を積み、「共感力(思いやり)」を育てる環境を大切にしていきたいと思っております。