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幼児の食育は「食楽」からはじまる

今年も暑い夏でした。ご父母の皆さまお変りありませんか。

園も「クロップス・サンクスデー」を迎えて、いよいよ2学期が本格的に始動しました。今月は、私たち人間が一生涯を「健康に生き抜いて寿命を全うするための最も身近な食生活習慣について」考えて見ることにします。

話は少し遠回りしますが、私の大好きな精神医学者エリクソン(Erik Erikson 1902-1994)は、「人間の本質」を5つに分析しました。1. 「孤独」2. 「不安」(劣等感)3. 「不満」4. 「嫉妬」5. 「自惚れ」です。この5つの要素が、人によって強弱の差はあるとしても、人間であれば必ず内在していると精神分析しています。しかも、自分の中にないものには惹かれない、という特性をもっているために、無自覚に批判ばかりする人は、実は自分が幸せでない人です。幸せな人はいじわるをしません。自分の心の中に淀んだものを抱えているから、悪口を書き込むインターネット・サイトなどと波長があい、自分も悪口雑言を書き込んだり、ほかの同じような書き込みを読んだりしてストレスを発散します。ヒステリーがヒステリーを呼び込み、どんどん増殖することになります。

「生きる力」といわれますが、エリクソンが分析した人間の5つの本質のうち、孤独、不安、不満、嫉妬の4つは、まさに暗いネガティブな性質で、ここからは明るい希望あふれる積極的な生きる力は生れてきません。

しかし、5つ目の「自惚れ」の特性があるから、皆さまも私も、今日も生きておられるのです。「私がいなきゃ…」、「私でなけりゃ…」、「私が…」、「私が…」 … こそが人間の「生きる力」の源であります。

幼児期は、この「自惚れ」に「好奇心」が強く結びついて、全てが「自己中心性」の原動力になって、毎日ぐんぐんと成長しております。

この原動力となるエネルギーが「食欲」であります。この食欲を肉体と精神のバランスをとって「健康」に一生涯持続させようとする教育活動が「食育」といえます。

人間にとって欲望を満足させる根底にあるものは全て「楽しい」というキーワードでくくられています。「食欲」も赤ちゃんの授乳から「楽しく、満足させる」ことが大切で、離乳食の味も食材も手数をかければかける程、「味覚」も幅広くなり(味蕾細胞の活性化)、好き嫌いもなくなって、一生涯豊かな食生活が出来ることにもなります。

私は、園の完全給食の実践にあたり「楽しくなければ給食でない」をモットーに創立以来46年間、自園完全調理を続けてきております。全てのお子さまの健やかなご成長をお祈りしつつ。

2008年09月05日