「表現」は心と技のはばたき
12月を迎えます。明日と明後日の園内は一年に一度のパフォーマンス(performance)を楽しみ合う「表現発表会」でご父母さまやご家族の方々のご来園をいただきます。寒い中、お運びいただくこと、厚くお礼申し上げます。
お子さまにとっての表現活動は、体力ばかりでなく、知力の発達と感性や思考力の発達を表わす成長の大きな節目でもあります。
年少・年中・年長のお子さま方それぞれに「自信」(confidence)を友達同士で確かめ合い、ご両親に堂々と示す場が、この発表会なのです。お家へ帰りましたらどうぞ「よくできたね。あんなに上手にできるなんて、すごくビックリしましたよ。すっかり大きくなったね。」と大ホメして下さい。
さて、今年も一年で最後の月を迎えました。ご父母の皆さまにとりまして幸せ多い年だったとお祈りし、お慶び申し上げます。
園にとりましては開園から50年目の年でした。私にとりましては、50年の永い歳月、澤山の幼な児達に大きな事故も怪我もなく、教職員揃って元気に幼児教育のために働いてこられたことに只々感謝しております。お支え下さいました多くの方々に深く深く心を込めてお礼申し上げます。
私が高校や短大の教員をやめて、幼稚園を設立して「幼児教育」に専念する旨、母に相談したところ、母は「親ごさんにとって、かけがえのない宝もののお子さんに、怪我でもさせたらどうするの?先生も巻き込んで迷惑をかけるようなことを考えてはいけません。」とピシャリと、反対されて仕舞いました。
その日からの私の頭の中は、日比谷公会堂で聴いた時実博士の“脳の話”と、幼児期の教育の重要性が学校教育の原点であるという人間教育論の根本の教えとがグルグルと回り続けて、自分で何か行動せずにはおれなくなりました。
この気持ちを最初に打ちあけたのが北大教育学部の助教授(当時)三宅和夫先生でした。三宅先生はアメリカ留学から帰国されたばかりの頃で、私の実践論を興味深く聞いて、助言して下さいました。
まさに百萬の味方を得た思いで、幼稚園の設立に突進し今日に至ってしまいました。
昨今、文部科学省が「幼稚園教育」から遠ざかってゆくかのような施策に明け暮れていることに心を痛めています。
100年前、ロシアがソビエト革命で大失敗をして今日なを深い傷を背負い続けているホスピタリズムに逆戻りしそうな「幼保一体化・子ども園」構想などという、日本国家の存続をも脅かそうとするような危険で最悪の愚策が目につくようになりました。
「教育は哲学があって成り立つもの」です。この愚策の哲学はどこにあるのか示して欲しいものです。風邪などひきませんように。